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Curtain Call
カーテンコール|大野一雄「ラ・アルヘンチーナ頌」
03'10"
公演の作品本体ではなくカーテンコールを紹介。
大野一雄「ラ・アルヘンチーナ頌」(1977年 初演)より
カーテンコールは、虚構から現実に戻るパフォーマーの姿と作品本編の残り香が交わる、得も言われぬ感動の瞬間です。「ラ・アルヘンチーナ頌」の1977年初演時のカーテンコールでは、演出の土方巽が舞台に登場し、自ら花束を大野に差し出します。
出演:大野一雄、土方 巽、池田淑人
カーテンコールの思い出
客席で見ている我々には、花を持って誰が現れたのかわからないが、なにかただごとでない事が起きている——そういうことを感じさせるカーテンコールだった。その人は、この舞台を演出した土方巽。しかしそれだけではなく、20年程前には同じ第一生命ホールで、あの「禁色」を、あの「ディヴィーヌ抄」を演出した。彼の氷のようにまっすぐな背筋から、大野一雄に対する畏敬の念が伝わってくる。芸術への畏敬という高貴な感情が、こんなにもリアルに手渡される瞬間を見たことがない。(TM)
大野一雄(1906~2010)
舞踏を世界に広めた伝説的ダンサー。1950年代末に土方巽と出会い、西洋の影響を強く受けたモダンダンスから、日本人の内面的な問題を扱う身体表現へと方向転換する。67年より舞台を退き、実験映画作りに没頭していたが、77年に「ラ・アルヘンチーナ頌」を発表。80年、同作をもって73 歳で海外デビュー。103歳で逝去するまで現役で踊り続け、ピナ・バウシュをはじめ名だたる芸術家たちに大きな影響を与えた。
「ラ・アルヘンチーナ頌」(1977)
大野一雄のソロ作品。演出土方巽。1977年11月に東京の第一生命ホールにて初演され、94年まで世界各地で119回上演された。「ラ・アルヘンチーナ」はスペイン舞踊の革新者として知られるラ・アルヘンティーナ・アントニア・メルセ、「頌」は讃えるの意。大野が1929年に帝国劇場でメルセの来日公演を見て深い感動を覚えた体験が創作の源となっている。80年の欧州ツアー時からは、彼女がカスタネットを奏でる2曲を本作に取り入れている。
「ラ・アルヘンチーナ頌」
1977年 第一生命ホール(東京|日本)
出演:大野一雄
演出:土方 巽
タンゴ演奏:池田光夫とロス・アミーゴス
撮影:Video Information Center
映像提供:慶應義塾大学アート・センター
番組用編集:飯名尚人
字幕テキスト:溝端俊夫
字幕翻訳:本田 舞
© Video Information Center / Movie courtesy of Keio University Art Center Archives