クルト・ヨースのダンス作品「緑のテーブル」(1932)は、戦争が再来する予兆の中で明快な反戦姿勢を示す芸術作品として発表され、高い評価を受けました。今日まで世界中のバレエ団が再演を重ねる、舞踊史上に燦然と輝く古典作品です。舞踊作品の継承は、一面においては振付の継承であり、それは記譜や振り移しという方法で行われます。「緑のテーブル」もその例外ではありません。特筆すべきは、どこで再演される場合もヨース自身が振付指導を行い、彼の死後は娘のアンナ・マルカートが必ず現場に赴いてその任に当たったということです。「緑のテーブル」が対峙した現実を直接知る眼が、作品の成立に必要と考えられたのです。しかし作品を見る生きた眼がなくなった時、どうなるのでしょう。そもそも舞踊作品は如何にして時を超え、継承されるのでしょうか。「緑のテーブル2017」は激動の歴史に深く関わったこの作品からインスピレーションを得て、原作の振付や音楽を一切使わずに新たに創作されました。舞踊史の最重要作品を取り巻く課題を考え、新たな作品構築を試みることで、今を生きるわたしたちにとって、古典作品がどのような意味を持つかを問いたいと思います。
2018年9月5日(水) 20:00開演
9月6日(木) 20:00開演
会場:ゲーテ・インスティトゥート/東京ドイツ文化センター
上演時間:約60分
チケット:[前売り] 一般3,000円/ 学生2,500円/ 団体割引(5名) 12,000円
[当日] 一般・学生共3,500円
振付 岡登志子
美術 廣中薫
出演 垣尾優 桑野聖子 糸瀬公二 文山絵真 佐藤健大郎 山井絵里奈
村田圭介 佐伯春樺 奥響子 岡登志子 大野一雄舞踏研究所研究生
特別出演 大野慶人
音楽協力 田村ゆう子
主催 NPO法人ダンスアーカイヴ構想
共催 有限会社かんた
特別協力 ゲーテ・インスティトゥート/東京ドイツ文化センター
協力 大野一雄舞踏研究所 アンサンブル・ゾネ
助成 アーツカウンシル東京 (公益財団法人東京都歴史文化財団)
プロジェクト
戦争に反対したダンス 緑のテーブル2017
Week-days Show! 平日夜にダンスをみよう
2018年4月 愛知芸術劇場 (写真:阿波根治)
会報No.12
振付・演出 クルト・ヨース 「緑のテーブル」(1932)について
緑のテーブルを囲んで怪しげな会話をする男たち。激しい言い争いの後、戦いの火ぶたが切られ、殺し合いが始まる。別れ、戦闘、難民、享楽、残されたものたち。様々なドラマが展開する中、骸骨の「死の舞踏」が踊られる。ヨースは中世の絵画「死の舞踏」から同作品を構想した。1932年にパリに設立された国際ダンスアーカイヴの振付コンクールに出品され、満場一致で最優秀作に選ばれた。当時のナチス台頭に対する強いメッセージ性をもち、「反戦バレエ」とも言われる。今日まで世界各地で再演され、現代舞踊の発展にも大きな影響を与えた古典的作品である。コンテンポラリーダンスの振付家ピナ・バウシュもフォルクヴァング芸術大学でクルト・ヨースに師事し、自らの舞踊団でも同作を上演している。また、ドイツ表現主義舞踊に傾倒した若き日の大野一雄にも大きな感動と激励を与えた。
国際ダンスアーカイヴ Les Archives Internationales de la Danseについて
1932年スエーデン人篤志家ロルフ・ドゥ・マレにより、国や時代を超えてダンス資料を収集することを目的に設立、パリを拠点に資料室、図書室、展示室を運営、また公演、コンクールなども企画した。同時に舞踊関連の様々のテーマを特集する刊行物Les Archives Internationales de la Danseを出版した。1932年にいくつかコンクールを主催し、その振付コンペには、フランス、ドイツ、アメリカ、ロシア、オーストリア、ポーランドなどから20作家が参加、最優秀賞にクルト・ヨース、二位に表現主義舞踊のロザリア・クラデク、三位にはバウハウスのオスカー・シュレンマー等が入選している。1952年まで活動を継続し、その後アーカイヴ資料はフランス国立図書館とスエーデンのダンスアーカイヴに引き継がれた。
<出演者プロフィール>
■岡登志子
神戸生まれ。アンサンブル・ゾネ主宰。フォルクヴァンク芸術大学舞踊科卒業。ドイツで習得したダンスメソッドを実践しながら、現代を生きる人間に共通する身体を通し、人間の実存を問う作品づくりを行っている。2010年から大野一雄フェスティバルに毎年参加。2014年に神戸長田文化賞受賞。近作に「迷い」、「飛ぶ教室は 今」。 2018年KOBE ART AWARD受賞。
■垣尾優
1997年よりダンサーとして活動。アンサンブル・ゾネに2004年から参加する。2006年から2009年までcontact Gonzoで活動。2011年エルヴィ・シレン振付作「KITE」出演。2014年、松本雄吉、ジュン・グェン=ハツシバとの共同制作「sea water」上演。2015年砂連尾理振付作品「猿とモルターレ」出演。2015年ノーラ・チッポムラ振付作品「祈り」等に参加。
■大野慶人
1938年、大野一雄の次男として東京に生まれる。1959年、土方巽の「禁色」に出演。以後60年代の多くの土方作品に参加。1969年自身のソロ公演を機に舞台活動を退く。1985年大野一雄「死海」でカムバック。世界各国で公演、ワークショップを行う。近作に「花と鳥」 (2013)、 レクチャー・パフォーマンス「それはこのようなことだった」(2016)、アノーニとの共演「たしかな心と眼」(2017)。
<チケット取扱>
チケットカンフェティ
Tel: 0120-240-540(通話料無料・平日10 :00~18:00 土日祝日はご利用頂けません)
※カンフェティのチケット発券手数料はダンスアーカイヴ構想が負担します。
<問合せ>
NPO法人ダンスアーカイヴ構想
E-MAIL:info@dance-archive.net Tel:03-3450-6507
Facebook : @DanceArchiveNetwork
Twitter : @dance_archive
<会場アクセス>
ゲーテ・インスティトゥート/東京ドイツ文化センター
東京都港区赤坂7-5-56 東京メトロ銀座線・半蔵門線・大江戸線「青山一丁目駅」4出口 徒歩約7分
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/sta/tok/ueb/kon.html