ひと
- 人物
郡司正勝Masakatsu Gunji
歌舞伎研究家、演出家、演劇評論家。河竹繁俊に師事。民俗学の考察を歌舞伎研究に取り入れ、芸能と日本人の精神構造に光をあてた。
早くから舞踏にも注目し、1985年に開催された舞踏フェスティバルでは企画委員を務め、前夜祭で講演を行った。1990年代前半に人形遣いの水田外史氏の仲介で大野一雄の稽古場を訪ねるようになり、1994年の大野一雄舞踏公演「睡蓮」では題字を揮毫、プログラムにテキスト「大野一雄頌」を寄せた。1998年には大野慶人のために<ドリアン・グレイの最後の肖像>という作品を構想していたが、完成を見ることなく4月に他界した。大野慶人は遺されたいくつかのメモから舞台化を試み、同年8月および郡司の一周忌にあたる翌年4月に同タイトルで上演した。
写真右から2番目が郡司正勝。右端が水田外史(写真をクリックすると写真の資料ページにとびます)
略歴
1939年 早稲田大学文学部国文科卒
1954年 『かぶき・様式と伝承』を発表
1960年 早大演劇博物館学芸員などを経て早稲田大学教授となり、84年まで務める
1963年 四世鶴屋南北<桜姫東文章>を復活上演。以来、旧作の校訂・演出に力を注ぐ
1973年 「美術手帖」2月号に土方巽の舞踏を評した「死という古典舞踏」を寄稿
1985年 舞踏フェスティバル[舞踏懺悔録集成]にて企画委員を務め、「伝統芸能と舞踏」と題して講演を行う
1993年 <沙羅女急々の段>を作・演出。中村京蔵、ビショップ山田等が出演
1994年 大野一雄舞踏公演「睡蓮」のプログラムへ寄稿(「大野一雄頌」)、題字を揮毫
1995年 原始かぶき<青森のキリスト>作・演出。中村京蔵、和栗由紀夫等が出演
1997年 <歩く>を作・演出。東京、ポーランドにて上演
1998年 大野慶人のソロ作品<ドリアン・グレイの最後の肖像>を構想。4月に死去
受賞歴
『かぶき・様式と伝承』で1955年度芸術選奨文部大臣賞受賞
『郡司正勝刪定集』全六巻で第5回和辻哲郎文化賞(1992年度、一般部門)受賞